各社様々な二次創作のガイドライン!ルールとマナーを正しく知って、楽しい創作活動を

元々、個人が「好きな絵を描く」というのは、それ自体は誰にも否定されようがない趣味の活動です。

しかしそれが既存の作品のキャラクターである場合、二次創作という範疇に含まれた活動になっています。

SNSの普及で広まりつつある二次創作

堅苦しい言い方をしましたが、二次創作それ自体が堅苦しい活動な訳ではありません。

ネットの普及によるリテラシー向上に伴い、「著作権侵害」という言葉が独り歩きをしている風潮があります。

幼稚園の先生から「アニメのキャラクターを描いては駄目」と言われた、あるいは逆に子供に好きな絵を描かせようとしたら「好きなキャラを描きたいけど著作権侵害だから描けない」という返事があったという体験談も存在しています。

根本的には違法である二次創作

そういった認識が間違っているかと問われれば、「間違ってはいない」という回答になります。

しかし、「だから描いてしまえば必ず罰せられるのか」という問いには「必ずではない」という回答にもなります。

これは多くの二次創作において発生する著作権侵害とは、親告罪である為です。

親告罪とはその著作権を保持している作者が、違反した相手を訴える事で罪に問われます。

しかし「二次創作はファン活動である」という認識もまた、確かに存在しているのです。

法的に訴えられた実例もある

過去にはいくつか、法的に罪状が発生したケースも存在しています。

1999年、コナミのときめきメモリアルにおける「どきどきイマジネーション問題」では、アダルトな同人作品が原作作品のイメージを損なったとして227万5000円の賠償金が発生しました。

他にも、健全な内容ながらクオリティの高すぎる内容だったが為に「これが本当の最終回か」と思われてしまい、藤子プロが著作権侵害を訴えた「ドラえもん最終回同人誌問題」や、京都府警から暴力団との関係を疑われ、作者が逮捕・刑事告発された「ポケモン同人誌問題」が有名です。

古い事件ではありますが、こうした前例があった、と理解しておく事は大切です。

昨今増えつつある二次創作グッズ問題

訴えるまではいかずとも、公式のグッズと見紛うほどクオリティの高いグッズを作ってしまう事で、頒布・販売を会場現地で禁止されたケースは現在でも起きています。

これは、現時点で公式が取り扱っていないグッズであっても、今後販売されるかもしれないグッズを先に販売されてしまう事に問題があります。

海賊版グッズと同じように、本来ならば公式に入る筈のグッズ利益が入らなくなる、明確な実害が発生する為です。

海賊版やグッズ転売が何故いけないのか

この海賊版やグッズ転売は、欲しいグッズがその時点で公式から入手する手段が無いファンに取っては、一見ありがたく感じるかもしれません。

しかし、その作品の次回作が作られるかどうかは、作品自体の売り上げだけでなく、公式から販売されるグッズ収益もまた判断材料になります。

高額で転売のグッズを買えば、その差額分で買えた筈の次の公式グッズが買えなくなる、公式グッズの売り上げが下がれば当然、次回作は作られ難くなります。

これと同じ事が、クオリティの高い同人グッズでも発生しかねないのです。

企業が発表しているルール・ガイドライン

一方で、盛況なファン活動である二次創作・同人活動を積極的に受け入れる、或いは「このルールに則る限りはやって大丈夫ですよ」とガイドラインを制定している企業・団体も存在しています。

任天堂の場合

任天堂では、ニコニコ動画における任天堂の著作物を使用した二次創作動画の作成を、クリエイター奨励プログラムとして許諾しています。

2014年、niconico開催のイベント「闘会議2015」での記者会見にて、代表取締役社長である岩田聡氏からこの発表がされました。

ニコニコ動画への投稿に限れば、実況動画による二次創作のみならず、ゲーム音楽の弾いてみた・歌ってみたを含め、動画クリエイターが安心して二次創作出来る環境を構築していく、と表明しています。

CAPCOMの場合

カプコンは許諾が無い状態で描かれた自社キャラクターについては違法であるとしながらも、ファンの創作活動において理解を示し、ガイドラインに反しない限りはクレームを入れる事は無い、と表明しています。

ガイドラインでは、「公式画像の精密な模写、既存公式画像の加工」、「倫理的に問題がある内容(過度な性的表現や残酷描写)」、「内容に関わらず、カプコン社が営利的に使用していると判断したもの」、「アイコン・壁紙といった配布目的」、これらの条件に当てはまる二次創作を禁止しています。

ニトロプラスの場合

近年では刀剣乱舞が人気のニトロプラスは「二次創作における同人誌等の活動に関する取扱いについて」というページにて、ガイドラインを示しながらも、積極的にファンによる二次創作活動を応援していく、という表明をしています。

営利目的・非営利目的についても細かなガイドラインが設けられており、どういった販売個数・売上からは営利目的になってしまう等の線引きが判り易いガイドラインとなっています。

こちらも、ニトロプラスや作品キャラクターイメージを著しく損なわない事、公式製品と誤解を招かない事も条件に挙げられています。

東方Projectの場合

同人サークル上海アリス幻樂団のシューティングゲームとして人気を博し、pixivにて膨大な二次創作作品が日々投稿されていた東方Projectもまた、二次創作について表明されています。

同人で慣例的な手段(ホームページでの公開、即売会への参加)、その内容(漫画や小説、コスプレも含む)であれば、許諾や提出・報告の義務なく自由な使用を「構わない」としています。

ただし、その二次創作で発生したトラブルにおいて、上海アリス幻樂団は一切責任を負いかねる、としています。

TYPE-MOONの場合

Fate、FGOで人気のTYPE-MOONでも、作品の画像やシナリオや音楽に関するガイドライン、同人作品・グッズについてのガイドラインを制定しています。

作中の画像や音楽といった素材全ての利用は原則禁止となっています。

同人誌・同人グッズはその素材利用禁止の前提のもと、制作・頒布が促されています。

ただしグッズに関しては商業目的であるとTYPE-MOONが判断した場合、禁止されます。

更にフィギュアを含む立体物はより厳しく、ゲーム内意匠やTYPE-MOON作品の画像を基にした立体物の制作・頒布は禁止されています。

クリプトン・フューチャー・メディアの場合

クリプトンは初音ミク他VOCALOID6名をキャラクターとした二次創作に関して、細かなガイドラインを用意しています。

ホームページでの公開、立体物の無償展示・配布、コスプレといった非営利かつ無償の利用における二次創作物を許諾しています。

更に、個人観賞・実用を目的としたグッズ製作についても非営利目的であれば許諾申請無く認めています。

同人誌頒布といった、非営利であっても有償の利用であれば、「ピアプロリンク」というクリプトンへの申請サービスを利用する事が求められます。

AH-Softwareの場合

AH-SoftwareはVOICEROIDである結月ゆかり、弦巻マキ、琴葉 茜・葵等をキャラクターとした二次創作を、非商用(無償)での公開・頒布を許諾しています。

非営利目的の二次創作で同人誌の有償配布をする場合、「AH-Software 個人・同人サークル 有償配布申請ページ」での申請をし、承諾される必要があります。

非営利目的の申請では無料ですが、営利目的の個人・同人サークルでの有償配布では有料のライセンス申請が求められます。

にじさんじの場合

一般的にVtuberと称される活動者においても、その個性溢れるキャラクター性から多くのファンに愛され、二次創作が存在しています。

バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営している「いちから株式会社」が定めた二次創作ガイドラインでは、ガイドラインの規定に沿う限りは二次創作文化の慣例内で「ご自由にお楽しみください」としています。

2019年6月に制定されたこのガイドラインは、「二次創作はファン活動である」という近年の風潮が色濃く表れている文面で構成されています。

ローカルルールも存在している二次創作界隈

企業のガイドラインの他にも、二次創作をネット上に投稿する上では把握しておいた方が良い、ローカルなルールも存在しています。

ただし、これは創作活動における自縄自縛、同調圧力めいており、人によっては眉を顰めているルールでもあります。

守るか守らないかは個人の自由の範疇となりますが、そのルールがどうして存在しているのか、その背景を知った上で守る・気にしないを決める方が賢明です。

過激な18禁二次創作は堂々と投稿するべきではない

これは多くの二次創作利用ガイドラインにおいて、「過激な性的描写のある作品」が禁止されている事がある事、SNSが誰の目にも触れる公共の場であるとして、公序良俗に反しない節度を求めてのルールです。

ただし、投稿の場となるtwitter社の規約においては明確に禁止されているのは、ヘッダー・アイコンを18禁画像とする事です。

Twitterではセンシティブな画像に関して非表示にする設定が可能です。

投稿を制限する事よりも、見たくない側がこれらのシステムを利用する方が確実でもあります。

nmmn、ナマモノ、3次元、2.5次元

有名人、或いは有名人が演じた原作の実写化作品のキャラクターおいても、堂々と名前を表記しての二次創作は推奨されていません。

これは現在活動中の実在の人物のイメージを損なう可能性がある事、人名で検索した本人・ファンがショックを受ける可能性がある、アンチが攻撃する材料になる事を懸念してのルールです。

何よりも有名人本人のイメージを守るために、潜んで行うべきだ、という風潮が存在しています。

ただし、イメージを損ないかねない過激な二次創作ではなく、健全な作品についてはファンのみならず、有名人本人による閲覧・RTが行われた事例も存在しています。

ローカルルールを守らない=私刑・糾弾して良い事にはならない

他にも様々なローカルルールが存在していますが、根本的に二次創作についてNGを出せるのはその著作権・版権を持つ作者や企業のみです。

ローカルルールは厳守を強要できるものではありません。

SNSではローカルルールを守らないアカウントの晒し上げや炎上が発生する事があります。

何のために指摘するのか、その方法・口調は適切であるのか、その行動こそ「こういった過激な排斥を行うファンが存在している」という事で作品を貶めていないか、各々が考えるべき点です。

二次創作のルールは何処で共有されていたのか

そもそも何処でそうしたルールが発生し、共有されていたのでしょうか。

現在は死語となりつつある「ネットマナー」が個人サイト隆盛期に存在していました。

二次創作の個人サイトの多くでは、このネットマナーへのリンクを貼っている事が多く、サイトを閲覧する内にその存在を認知、自分が二次創作を始める際の参考にする事が出来ました。

創作の場が個人サイトからSNS・画像投稿サイトへと移った事で、このネットマナーに触れる機会が減り、その存在を知らない人も少なくありません。

しかし、認知が途絶えてしまった事柄について、「暗黙の了解を知らない」と糾弾する事は理不尽です。

認知が必要だと思う側が、積極的に認知活動を行っていかなければならない事でもあります。

ガイドラインを守った二次創作活動を

事件があった20年前に比べ、二次創作によるファン活動は、作者・企業の黙認や受け入れもあって活性化した文化となりつつあります。

存在しているガイドラインにきちんと従い、企業の二次創作への姿勢を裏切らない、応援・ファン活動である認識を持って行っていきましょう。